平成14事業年度貯金保険機構年報
Ⅲ.改正貯金保険法(平成15年4月施行)における主な制度改正
我が国経済において組合の行う資金決済が果たす役割の重要性にかんがみ、我が国の金融の機能の一層の安定化を図るため、経営困難組合に係る資金決済の確保及び資金決済に関する貯金者その他の債権者の保護等に関し所要の措置を講ずることとされた。
主な改正内容は、次のとおり。
① 特定貯金の全額保護の2年延長(暫定措置)
② 決済用貯金の全額保護の措置の導入(恒久措置)
③ 仕掛かり中の決済資金の保護のための措置の導入(恒久措置)
なお、農水産業協同組合貯金保険法第1条の目的には、これまでの「貯金者の保護」のほか、「経営困難組合に係る資金決済の確保」が加えられた。
1.特定貯金の全額保護の2年延長
特定貯金(当座貯金、普通貯金、別段貯金)を全額保護することとしている暫定措置の適用期間を、2年間(平成17年3月末まで)延長することとされた。
2.決済用貯金の全額保護の措置の導入
安全確実な決済手段を提供することによる決済機能の安定確保を図るため、組合の破綻時においても全額保護される決済用貯金の制度を設けることとされた。
決済用貯金とは、①決済サービスを提供できること、②貯金者が払戻しをいつでも請求できること、③利息が付かないこと、という3条件を満たすものとされている。現時点でこれに該当するのは、当座貯金と別段貯金の一部のみである。
なお、決済用貯金以外の貯金(以下「一般貯金等」という。)については、1,000万円までの元本とその利息が保護されることとなるが、一般貯金等に該当する特定貯金(例えば利息が付されている普通貯金)については、平成17年3月末までの間は、上記1.の暫定措置により全額保護される。
3.仕掛かり中の決済資金の保護のための措置の導入
組合が行う資金決済における仕掛かり中(注1)の決済取引を円滑に完了させることが決済機能の安定確保に資するとの観点から、組合が行う資金決済に係る取引に関し組合が負担する債務(法令で定める要件に該当するものに限る。以下「決済債務」という。)について、決済債務に係る勘定処理の区分(別段貯金、仮受金等)にかかわらず、これらを全額保護するための制度を導入することとされた。
なお、決済債務とは、組合が行う資金決済に係る次の取引に関し組合が負担する債務(外国通貨で支払が行われるものを除く。)であって、
① 為替取引
② 手形・小切手等について手形交換所における提示に基づき行われる取引
③ 組合が自己宛に振り出した小切手に係る取引
かつ、次の要件に該当するものとされている。
① 金融業を営む者(注2)以外の者の委託に起因するもの
② 組合が業として行う取引以外の取引に起因するもの
③ 金融業を営む者が業として行う取引以外の取引に基づくものであって当該者の委託に起因するもの
④ 組合が自己宛に振り出した小切手に係る取引に起因するもの
農水産業協同組合、銀行法に規定する銀行、
長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、
労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、
労働金庫連合会、商工組合中央金庫