平成13事業年度貯金保険機構年報
Ⅰ.一般情勢
平成13年度の我が国経済は、IT(情報通信)不況と不良債権問題に直面した。
さらに、昨年9月11日の米国での同時多発テロ事件の発生と、引き続くアフガニスタンへの報復攻撃により、世界規模での先行き不透明感が高まった。
その後、総合デフレ対策の発表と米国はじめ海外経済の景気回復基調を受けて、我が国の輸出減少も下げ止まり、輸出・在庫面の圧力の低下とともに、景気悪化の速度は改善されると見られたが、依然として株価は低水準にあり、円の為替相場の推移にも注視が必要となっている。また、我が国経済に対し、海外の投資家や格付け機関の見方にも厳しいものがある。
一方、こうした経済環境の中、平成13年4月に誕生した小泉政権は、「聖域なき構造改革」を掲げて金融機関の不良債権処理と行財政改革に着手した。
農業情勢については、農産物価格の低迷、輸入の増加が引き続いたことに加え、BSE問題や偽装表示問題が発生し、農業生産に大きな影響を与えている。
漁業情勢については、漁獲・養殖生産量は、連年の低下を示す一方、水産物輸入量は引き続き増加しており、漁業経営を取り巻く環境は一層厳しさを増している。こうした中、水産基本法が制定され、漁業再建整備特別措置法改正や、水産業協同組合法の改正等が今国会に上程される運びとなった。
系統金融については、昨年6月に成立した農協改革2法を受け、JAバンク基本方針が決定され、本年1月、自主ルールに基づくいわゆる「JAバンク」がスタートした。
なお、漁協系統信用事業においては、本年の水協法改正により同様なマリンバンク構想が予定されている。
平成14年4月のペイオフ解禁を控えて、一般金融機関の不良債権処理が株式会社整理回収機構の機能強化や企業再生の枠組みの整備、金融庁の特別検査の実施を行いながら、積極的に進められた。農漁協系統金融機関についても、初めて、管理人の導入や協定債権回収会社(株式会社整理回収機構及び系統債権管理回収機構株式会社)への資産の買取り・回収の委託を行う等により、破綻農漁協の処理を重点的、集中的に行い、初の特別資金援助の発動と、責任準備金の取崩しを行った。