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◎貯金保険機構年報

第2章 貯金保険制度及び貯金保険機構の概要
U.貯金保険制度の概要
1.対象組合
 この制度の対象となる組合は、次のとおりである。これらの組合が対象貯金等を受け入れた時点で、機構、組合及び貯金者の間で自動的に保険関係が成立することとなる。
・農業協同組合(信用事業を行う組合に限る。)
・信用農業協同組合連合会
・漁業協同組合(信用事業を行う組合に限る。)
・信用漁業協同組合連合会
・水産加工業協同組合(信用事業を行う組合に限る。)
・水産加工業協同組合連合会(信用事業を行う連合会に限る。)
・農林中央金庫
(注)  銀行法に規定する銀行、長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会は、「預金保険制度」に加入。証券会社は「投資者保護基金」、生命・損害保険会社は「保険契約者保護機構」に加入。
2.対象貯金等
 貯金保険の対象となる貯金等の範囲は、次のとおりである。
イ.貯金、ロ.定期積金、ハ.元本補てん契約のある金銭信託(貸付信託を含む。)ニ.農林債(保護預り専用商品に限る。)及びこれらの貯金等を用いた積立・財形貯蓄商品、ホ.確定拠出年金の積立金の運用に係る貯金等
 ただし、次の貯金等は対象から除外される。
イ. 外貨貯金、ロ.譲渡性貯金、ハ.特別国際金融取引勘定において経理された貯金(いわゆるオフショア貯金)、ニ.日本銀行からの貯金(国庫金を除く。)、ホ.対象組合その他の金融機関からの貯金(確定拠出年金の積立金の運用に係る貯金等を除く。)、へ.機構からの貯金、ト.無記名貯金、チ.他人(仮設人を含む。)名義貯金、リ.導入貯金、ヌ.元本補てん契約のない金銭信託、ル.農林債(保護預り専用商品除く。)
3.貯金保険制度による保護の範囲
(1)貯金等の保護
 組合が破綻したとき、付保貯金の額は、平成14年12月の貯金保険法の改正により、平成17年4月以降は、保険の対象となる貯金等のうち、決済用貯金(無利息、要求払い、決済サービスを提供できること、という3要件を満たす貯金をいう。)に該当するものは全額保護(恒久措置)となり、それ以外の貯金等については1組合ごとに貯金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護される。(注)
 保険の対象となる貯金等のうち決済用貯金以外の貯金等で元本1,000万円を超える部分及び保険対象外の貯金等並びにこれらの利息等については、破綻組合の財産の状況に応じて支払われるため、一部カットされることがある。
貯金保険の対象貯金等 決済用貯金(注1) 全 額 保 護
定期貯金・貯蓄貯金・通知貯金・定期積金・農林債(リツノーワイド等の保護預り専用商品)等(注2) 合算して元本1,000万円までとその利息等(注3)を保護
1,000万円を超える部分は破綻組合の財産の状況に応じて支払い(一部カットされることがある。)
貯金保険の対象外貯金等 外貨貯金・譲渡性貯金・農林債(ワリノー、リツノーの保護預り専用商品以外の商品)等

保護対象外
破綻組合の財産の状況に応じて支払い
(一部カットされることがある。)

 

(注1)「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」という3要件を満たすものをいう。
(注2)納税準備貯金、貯金保険の対象貯金を用いた積立・財形貯蓄商品等が該当する。
(注3)定期積金の給付補てん金も利息と同様保護される。
(2)決済債務の保護
 平成14年12月の貯金保険法の改正により、平成15年4月以降、決済債務が全額保護されることとなった。
 決済債務とは、組合が行う資金決済に係る取引(為替取引、手形交換所において決済をすることができる手形、小切手等の提示に基づき行われる取引、組合が自己宛に振り出した小切手に係る取引)に関し組合が負担する債務であり、例えば、組合が破綻前に顧客から振込みの依頼は受けているものの、顧客から受け入れた資金が振込先へ移動していない取引に係る債務がこれに該当する。
(注)  組合自身や金融業を営む者(※参照)の委託に起因する取引による債務は、原則として決済債務に該当しない。ただし、組合が業として行う取引に関する債務でない場合等は、決済債務に該当する。
 なお、決済債務のうち決済用貯金として経理されていないものを「特定決済債務」という。例えば、決済債務のうち、組合貯金や仮受金等として経理されているものが、これに該当する。
(※)金融業を営む者
農水産業協同組合、銀行法に規定する銀行、
長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、
労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、
労働金庫連合会、商工組合中央金庫
4.保険料
(1)保険料の納付
 貯金保険対象組合は、毎年6月30日までに機構に納付することが義務付けられている。保険料は、機構が行う資金援助や保険金支払いの業務の原資となるものである。
 なお、機構は、保険料の受入れ事務を信農連、信漁連及び農林中金に委託して行っている。
(2)保険料の額
 保険料は、前年度の貯金保険対象貯金等の残高(平成14事業年度から、それまでの前年度末日の残高から前年度各営業日の残高の平均に移行。)に保険料率を乗じた額である。
(3)保険料率の決定
 保険料率は、運営委員会の議決を経た上で、主務大臣(農林水産大臣、財務大臣及び金融庁長官(内閣総理大臣による法定委任)をいう。)の認可を受けて決定し、公告することになっている。
  ○貯金保険料率の推移
  保 険 料
一般保険料 特別保険料
(注1)
昭和48事業年度
(制度発足時)〜
0.006% な  し
昭和61事業年度 0.010% な  し
昭和62事業年度 0.011% な  し
昭和63事業年度〜 0.012% な  し 計(@+A)
平成8事業年度〜 0.018% 0.012% 0.030%
平成13事業年度 特定貯金
(注2)
その他貯金等 0.012% 0.030%
0.018% 0.018%
平成14事業年度 0.034% 0.017% な  し
平成15事業年度 決済用貯金 一般貯金等 な  し
0.034% 0.017%
平成16事業年度以降 0.017% 0.014% な  し
(注1) 平成8事業年度から13事業年度までの間に限定(貯金保険法附則第10条第1項)。
(注2)当座貯金、普通貯金及び別段貯金をいう。
(4)近年の保険料率を巡る動き
 保険料は、平成8事業年度から平成13事業年度までは、一般保険料と特別保険料の2種類あったが、平成13事業年度限りで特別保険料は廃止された。
(注1)  特別保険料は、貯金等の全額保護の特例措置(平成8事業年度から平成13事業年度の間)に対応するため、ペイオフコスト(貯金者に保険金を支払った場合に機構が負担することとなると見込まれる費用をいう。以下同じ。)を超える資金援助(特別資金援助)の実施等を行うことを目的に特別に設けられた勘定の原資。貯金保険対象組合は、特別保険料(料率は政令によって対象貯金残高に対し0.012%と定められていた)を納付することが義務付けられていたもの。
 平成14事業年度の保険料率については、「特定貯金」が引き続き全額保護される一方、「その他貯金等」が定額保護(元本1,000万円までとその利息等が保護対象。)に移行する中で、貯金保険法や平成11年12月の金融審議会の答申の趣旨を勘案し、「特定貯金」は0.034%に、「その他貯金等」は0.017%と定められた。
(注2)  この場合、保険料の合計額は、特定貯金の残高に0.034%を乗じたものとその他貯金等の残高に0.017%を乗じたものの合計額となる。
 このため、組合が負担する全体としての実効料率は、0.030%(それぞれの貯金残高による加重平均)となる。
 平成15事業年度の保険料率は、平成14年12月に改正された貯金保険法の規定により、新たに定められることとなった。ただし、平成15事業年度と平成16事業年度の2年間は、平成14事業年度まで全額保護となっていた「特定貯金」が「決済用貯金」とみなされて引き続き全額保護され、これまでの「その他貯金等」が「一般貯金等」となり定額保護されるなど、貯金保護の枠組は実質的に平成14事業年度と同様となった。
 このため、「決済用貯金」と「一般貯金等」の料率格差の設定については、連続性にも配慮しつつ、貯金保険法の趣旨等を勘案し、「決済用貯金」は0.034%、「一般貯金等」は0.017%と定められた。
 平成16事業年度以降の保険料率については、これまでの組合の破綻の状況及び機構の財政状況等を勘案し、「決済用貯金」は0.017%に、「一般貯金等」は0.014%と定められている。
5.組合の破綻処理
(1) 定額保護下における破綻処理方式
 破綻処理の方法には、保険金を直接各貯金者等に支払う方式(ペイオフ方式)と、救済組合に破綻した組合の信用事業の全部又は一部を譲渡し、資金援助を行う方式(資金援助方式)があるが、平成11年12月の金融審議会答申では、「金融機関が破綻した場合には、破綻処理に要するコストがより小さいと見込まれる処理方法を選択するとともに、破綻に伴う混乱を最小限に止めることが重要であり、金融機関の破綻処理方式としては、資金援助方式の選択を優先し、保険金支払いの発動は出来るだけ回避すべきである」との破綻処理の基本的な方針が示されている。このことから、定額保護下においても、全額保護下と同様、資金援助方式の選択を優先することになるが、付保貯金以外の貯金や一般債権は、破綻組合の財産の状況に応じて弁済されることから、貯金者や債権者の平等を保ち、資産の流出を防ぐために、組合の事業に制約を課して財産を保全することが必要でる。そのため、定額保護下の破綻処理は、裁判所の監督下に置かれる倒産法制を活用することとなり、時間的にも制約を受けることから、全額保護下での破綻処理以上に困難を伴うことが想定される。
 機構では、かかる定額保護下での破綻処理スキーム及び管理人業務について、以下の方向で検討している。
(2)資金援助方式の概要
 資金援助とは、組合が破綻した場合、倒産法制下で、信用事業譲渡、合併等を行う救済組合に対し、機構がその合併等を容易にするようペイオフコストの範囲内で金銭の贈与等を行うものである。資金援助によって、合併等は円滑に行われ、破綻組合の付保貯金が救済組合に引き継がれ保護されることとなる。資金援助としては、金銭の贈与、資金の貸付け又は預入れ、資産の買取り、債務の保証、債務の引受け、優先出資等の引受け等、損害担保(いわゆるロスシェアリング。)の7つの方法が定められている。
 なお、これらの処理は、実務的には破綻組合の管理が管理人により行われていることを前提としている(B参照)。
@ 民事再生法の適用
 定額保護下においては、付保貯金以外の貯金等や債権については、破綻組合の財産に応じた弁済がなされる。このため、組合の破綻に際しては、これらの貯金者や債権者の平等を保ち、財産の流出を防ぐために、貯金等の払戻しなどの組合の業務に制約を課して財産を保全することが必要であり、そのために倒産法制を利用することとなる。具体的には、破綻組合について民事再生手続開始の申立てを行い、裁判所の監督の下で、付保貯金や健全資産を救済組合に譲渡するとともに、それ以外の貯金等や債権について破綻組合の財産に応じて弁済を行うことが想定されている。
A 基本スキーム概要
 破綻処理スキームの前提としては、付保貯金の算定(名寄せ)・資産切分け作業等の十分な事前準備ができない場合を想定している。
ア.  破綻直後に、破綻組合と救済組合との間で「6ヶ月を目処に付保貯金、決済業務及び健全資産を救済組合へ移転すること」を主たる内容とする、信用事業譲渡に関する基本合意書を締結する。
イ.  破綻組合は民事再生手続開始申立を行い、付保貯金算定作業後に、付保貯金の払戻しや決済業務、融資業務を再開、継続する。
ウ.  また、資産の切分け作業を実施し、6ヶ月を目処に救済組合へ付保貯金と健全資産を譲渡するが、付保貯金以外の貯金や一般債権者に対する債務については残余財産に応じ、民事再生計画に基づいて弁済される。
B 管理人による管理
 組合の破綻発生と同時に、都道府県知事(破綻組合が信農連、信漁連の場合にあっては、農林水産大臣及び金融庁長官。以下同じ。)から管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)が発動され、破綻組合の管理を行う管理人が選任される。
 破綻組合を代表し、業務の執行や財産の管理・処分等を行う権利は、管理人に専属することとなり、管理人の想定される主な業務は以下のとおりである。
ア.  破綻直後、破綻組合は救済組合と信用事業譲渡に関する基本合意書を締結する。
イ.  民事再生手続開始申立を行う。
ウ.  破綻が週末金曜日に発生したとすれば、土曜日から日曜日までの間に、月曜日からの業務再開に向けて以下のような準備を行う。
・ 外部チャネルの一斉閉塞、名寄せによる付保貯金算定作業、付保貯金
 の払戻し準備、保護しない決済債務の抽出、貯金者申出による相殺等
 の新たな業務への準備等。
・ 破綻組合職員に対する今後の業務体制等の指導
・ 経営体制の見直し、諸商品の見直し
・ 融資基準の見直し
・ 顧客の混乱防止を目的とした広報の徹底
エ.  月曜日に付保貯金払戻しや決済業務、融資業務を再開。店頭混乱防止を図る。
オ.  貸出資産等の資産切り分け作業を実施する。
カ.  6ヶ月後を目処に付保貯金や健全資産を救済組合に譲渡し、不良資産はサービサーへの売却や協定債権回収会社への買取り委託により処分する。
キ.  約1年後に、破綻組合の残余財産は再生計画に基づき弁済される。
ク.  この間、旧経営者に対する経営破綻の責任を明確にするための民事上の提訴や刑事上の告発を行う一方、裁判所、都道府県、関係外部機関及び機構本体を相手方とする多数の業務を行う。
 なお、管理人は、通常、弁護士、公認会計士、農業協同組合中央会、漁業協同組合連合会、機構等から選任される。
C 資金援助の態様
 資金援助の制度には、以下のようなものがある。
ア.  救済組合に対する資金援助
 救済組合に対し付保貯金や健全資産等を内容とする信用事業の一部を譲渡する場合や付保貯金を移転する場合に、金銭の贈与等の資金援助ができる。その際、救済組合に譲渡することができない不良資産について、救済組合と破綻組合の連名で機構に資産の買取りを申し込むことができる。
 なお、このほか、機構として、相互援助取決めにより援助を行う連合会等(農水産業協同組合連合会及び農林中金をいう。)に対し、また、農林中金の指導に基づき行われる合併等(付保貯金の移転を除く。)について支援業務を行う指定支援法人(農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律(平成8年法律第118号)第32条第2項に規定する指定支援法人をいう。)に対し、それぞれ資金援助を行う途も開かれている。
イ.  破綻組合に対する資金援助
 破綻組合が救済組合に対して信用事業の一部譲渡又は付保貯金の移転を行う場合、破綻組合には事業譲渡されなかった資産と負債が残ることとなる。その際、事業譲渡されなかった負債に係る債権者が当該信用事業譲渡によって不利益を被らないよう機構が破綻組合に対し資金援助(金銭の贈与に限る。)を行うことができることとされている(注)。
 具体的には、信用事業の一部譲渡によって破綻組合の資産が減少し、破綻組合に残される債権者に対する弁済率が信用事業譲渡前における当該債権者に対する予想弁済率と比較して低下してしまう場合に、これを避ける目的で機構が破綻組合に対し金銭の贈与を行うことができる。
(注)貯金保険法では、これを「破綻農水産業協同組合の債権者間の衡平
   を図るため」と表現している。
ウ.  追加的資金援助
 信用事業譲渡や合併等において当初資金援助を行った後、未確定再生債権の全容が判明する等した段階で、救済組合から追加の資金援助の申込みを受けた場合に、機構は、追加的資金援助を決定することができる。
D 資金援助の手順
 都道府県知事による合併等に関する適格性の認定(注)又は合併等のあっせんを受けた救済組合は、機構に対し資金援助の申込みを行うことができる。申込みを受けた機構は、運営委員会の議決を経て、資金援助の可否及び資金援助の額その他資金援助を行うに当たり必要と認められる事項を決定し、主務大臣の認可を受ける。機構は、この決定をしたときは、救済組合と資金援助に関する契約を締結し、資金援助を実施することとなる。
(注) 適格性の認定は、次の4条件をすべて満たす場合に限り、行うことができることとされている。
・当該合併等が行われることが貯金者等その他の債権者の保護に資すること。
・機構による資金援助が行われることが当該合併等を行うために不可欠である
 こと。
・当該合併等に係る破綻組合について合併等が行われることなく、その信用事
 業に係る業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該破綻組合
 が信用事業を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用
 者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。
・機構による資金援助が、救済組合の信用事業に係る業務の健全かつ適切な
 運営のために活用されることが確実であると認められること。
(3) 保険金の支払方式の概要
@ 保険事故
 機構による保険金支払の原因となる保険事故には、次の2種類があり、保険金の支払いは保険事故が発生した組合の貯金口座の名寄せ(貯金者ごとの付保貯金額の算定)等の準備が整い次第、貯金者からの請求に基づいて行われる。
第一種保険事故組合の貯金等の払戻しの停止
 この場合、機構は、保険事故発生の日から1か月以内(必要に応じて1か月以内で延長が可能)に、保険金の支払いを行うかどうかについて、運営委員会の議決を経て決定する。
第二種保険事故組合の解散の議決に係る認可、破産手続開始の決定、解散命令、又は法定解散
 この場合、機構の決定を要することなく、当然に保険金の支払いが行われる。
(注) 法定解散とは、組合が組織を維持するために必要な法定会員数又
  は組合員数を欠けたことによって解散すること。
A 保険金の支払い
 貯金者に支払われる保険金の額は、保険事故発生日に当該組合に預入している保険対象となる貯金等の元本とその利息等の合計額で、元本の額は、決済用貯金は全額、一般貯金等は1貯金者当たり1,000万円までと定められている(ただし、担保貯金等については、当該担保権に係る被担保債権が消滅するまで支払を保留できることとされている。)。
 機構は、第一種保険事故が発生した場合、保険金の支払い及び公告事項(保険金の支払期間、支払場所、支払方法及び支払取扱時間等)を運営委員会の議決を経て決定し、保険金の支払いに関する公告事項を官報への掲載並びに破綻組合等の店頭への掲示等の方法により公告し、貯金者に周知徹底を図ることになっている。
 また、第二種保険事故の場合には、運営委員会の議決を経ることなく保険金を支払うこととなるので、機構は周知するべき事項を定め、公告することになる。ることになる。
 なお、機構の保険金の支払方法には、貯金者に直接現金等により支払う方法のほか、円滑かつ迅速な支払事務処理や現金取扱いのリスク回避の観点から、他の健全な金融機関に、機構が保険金支払相当額の普通預貯金を設定し、これを貯金者に譲渡する方法もある。
(4) 仮払金の支払い
@ 仮払金の趣旨
 仮払金は、保険事故が発生し、保険金の支払開始又は付保貯金の払戻しまでにかなりの日数を要すると見込まれるような場合、破綻組合の貯金者等の当座の生活資金等に充てるため支払われるものである。機構が仮払金の支払いを行うためには、保険事故発生の日から1週間以内に、運営委員会の議決を経て仮払金を支払う旨の決定することが必要とされている。
A 仮払金の金額等
 仮払金は、各貯金者の普通貯金(元本部分)について、1口座につき60万円を限度として支払われるが、後に保険金等が支払われる時には、この仮払金支払額はその貯金者等の保険金の額等から控除されることになる。
 なお、仮払金を支払う場合には、公告等について保険金の支払いと同様の手続きをとることとなっている。
(5) 保険金及び仮払金支払いの実績
 制度発足以来、保険金及び仮払金の支払いの実績はない。
(6) 保険金及び仮払金の支払業務の委託
 機構は、保険金及び仮払金の支払を決定したときは、組合その他の金融機関に対して、保険金及び仮払金の支払その他これに附随する業務を委託することができる。
(7) その他の貸付け業務
@ 貯金の払戻しのための資金の貸付け
 管理人による管理を命ずる処分を受けた組合又は民事再生法に基づく管財人若しくは保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻組合に対し、機構は運営委員会の議決後、主務大臣の認可を受けて、決済債務の弁済のために必要な資金の貸付けを行うことができる。
A 決済債務の弁済のための資金の貸付け
 管理人による管理を命ずる処分を受けた組合又は民事再生法に基づく管財人若しくは保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻組合に対し、機構は運営委員会の議決後、主務大臣の認可を受けて、決済債務の弁済のために必要な資金の貸付けを行うことができる。
B 資産価値の減少防止のための資金の貸付け
 管理人による管理を命ずる処分を受けた組合(再生手続開始の申立後のものに限る。)又は民事再生法に基づく管財人若しくは保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻組合に対し、機構は、運営委員会の議決後、主務大臣の認可を受けて、資産価値の減少防止のために必要な資金の貸付けを行うことができる。
(8) 貯金等債権の買取り
 貯金等債権の買取りは、保険事故の発生した組合の付保貯金以外の貯金等(保険対象貯金等のうち決済用貯金以外の貯金等で元本1,000万円を超える部分及び外貨貯金並びにこれらの利息等)を、貯金者等からの請求に基づいて、機構が概算払額(保険事故発生日における貯金等の額に保険事故が発生した組合の破産配当見込額等を考慮して決定した一定の率(概算払率)を乗じた金額)に相当する金額で買取る制度である。この制度によって、貯金者は弁済金・配当金の受取りを待たずに、事実上前倒しでその一部の回収が可能となる。
 この概算払は、資金援助方式及び保険金支払方式のいずれの破綻処理方式においても実施できる。
 なお、機構では、買い取った貯金等債権の回収額が、買取りに要した費用を控除しても、概算払額を超えるときは、その超える部分の金額を貯金者に追加的に支払うこととなっている(精算払)。
 機構が貯金等債権の買取りを行う場合には、概算払率について運営委員会の議決を経て、主務大臣の認可を受けた後、買取期間、買取場所及び支払方法等を定め、公告することになっている。
○組合が破綻した場合の貯金等の取扱いの概念図
(太線内が貯金保険によって保護される)
貯金等の分類 1,000万円まで 1,000万円超
貯金保険の対象貯金等
当座貯金
普通貯金
別段貯金
決済用
貯金   
(注1)
全額保護

元本全額を保護
一   般
貯金等
定額保護

概算払

精算払
一部カットの可能性

定額貯金
定期積金
農林債(リツノーワイドの保護預り専用商品) 等

元本1,000万円までとその利息等(注2)を保護

元本1,000万円を超える部分及び外貨貯金とこれらの利息等×概算払率


 
対象外貯金等
外貨貯金  

譲渡性貯金
農林債(ワリノー、リツノーの保護預り専用商品以外の商品) 等

破綻組合の財産の状況に応じて支払い
(注1)「無利息、要求払い、決済サービスを提供できる」という3要件を満たすもの
    をいう。
(注2) 定期積金の給付補てん金も利息と同様保護される。
(9) 再生特例法に基づく手続
 機構は、再生特例法により、破綻した組合の再生・破産手続を円滑に進めるため、貯金者に代わって、再生・破産債権の届出(貯金者表を作成の上、裁判所に提出)、再生計画案に関する議決権の行使などを行うことになっている。
 機構が議決権を行使するときは、同意しようとする再生計画案の内容をあらかじめ貯金者等に通知・公告する。
(10) 協定債権回収会社
 機構は、債権回収会社との間で協定を締結し、その協定を実施するため各種業務を行ことができるとされている。
 具体的には、協定債権回収会社に対し、
@  協定の定めによる回収業務の円滑な実施に必要な資金の出資を行うこと、
A  協定の定めによる業務の実施により協定債権回収会社に生じた損失の補填を行うこと、
B  協定の定めによる資産の買取りのために必要とする資金その他回収業務の円滑な実施のために必要とする資金について、協定債権回収会社からの申込みに基づき、資金の貸付け又は資金の借入れに係る債務の保証を行うこと、
C  協定の定めによる業務の実施により協定債権回収会社に生じた利益の納付を受けること、
D  回収業務の実施に必要な指導及び助言を行うこと
等ができる。
(11) 金融危機への対応のための業務
 主務大臣(この場合は、農林水産大臣及び内閣総理大臣をいう。)は、次の@又はAの措置を講じなければ、我が国又は当該組合が業務を行っている地域の信用秩序維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議(内閣総理大臣が議長)の審議を経て、当該措置を講ずることができる。
@  組合(Aの組合を除く。)の自己資本充実のために行う機構による優先出資の引受け等
A  破綻又は債務超過の組合に対し、保険金の支払いに必要な費用の額を超える額の機構が行う資金援助(この場合は、組合に対し、管理を命ずる処分が行われる。)
なお、金融危機への対応のための業務に必要な財源としては、組合の負担金(負担金で不足するときは政府の補助)及び借入金(借入限度額:1,000億円(国会の議決による政府の債務保証あり。))を充てることとされている。
6.立入検査業務
 貯金保険法では、同法の円滑な実施を確保する観点から、主務大臣(この場合は、農林水産大臣、金融庁長官)又は都道府県知事が必要があると認める場合には、機構に組合に対する立入検査を行わせることができると規定されている。
 機構が行うことができる立入検査は、貯金保険法第117条第6項に規定されており、
@  保険料の納付が適正に行われていること(同項第1号)、
A  組合に義務付けられている名寄せのためのデータベース及びシステムの整備が講ぜられていること、また支払対象決済用貯金に係る保険金の支払又はその払戻しが円滑に行われるよう機構による名寄せ結果データを速やかに処理するためのシステムの整備が講ぜられていること(同項第2号)、
B  組合が破綻したときの貯金等債権について弁済を受けることができると見込まれる額(同項第3号)
の3項目となっている。
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